前回の、準備編では遣り方まで完了しました。今回は実際に基礎を作っていきましょう。
今回、僕たちが作る基礎は置き石基礎と言われる基礎で、独立基礎に分類されるものです。いわゆる日本で伝統的に使われてきた石場建てです。
神社は、お寺の縁の下覗いてみると柱が石の上に立っているのがわかると思います。この石が基礎になります。詳しくはこの投稿をチェックしてください。
基礎となる石を探す
現代で、独立基礎と言うとまず思い浮かぶのが、ホームセンターに売っている羽子板付き束石ですね。
そんなに高いものではないし、表面は平らですし扱いやすいので、独立基礎としては便利です。ただ、セルフビルドの家に使うには頼りないですよね。独立基礎の場合、建物を点で支えるため、基礎とその下の地面にかかる圧力はかなり大きくなります。そのため、できる限り頑丈で平らで地面に触れる面が広いものがいいです。
そこでおすすめするのは、天然の石です。
天然の石は、コンクリートに比べこんなに利点があります。
- 劣化しにくい
- 強度が強い(石の種類にもよります)
- 形がいろいろ選べる(ブロックではないような平らな石を選べる)
- 見た目がかっこいい
- なんたってタダで手に入れることも可能
デメリットも上げておきましょう。
- 大きい石は重い(一人で施工しにくい)
- 柱を建てる面が平らでない場合が多い
- 建物を基礎に固定出来ない(羽子板などを取り付けにくい)
重いのは、道具でなんとかなりました。表面は、グラインダーとダイヤモンドカップで平らに出来ます。建物が固定できないのは、僕の場合、家なので(建物が重い)風で飛ぶことはまずありませんし、一応、建物の真ん中にブロック基礎を作りアンカーで固定してあります。また、固定しないことで、地震の揺れと建物を分離できるので免震になります。小屋などの軽い建物の場合は、地面にアンカーを打って固定するのが一番簡単ですね。
石の強度

とにかく、強い石を探します。おすすめは御影石。大理石みたいな見た目で、よく誰かの裏庭に転がっている四角く加工されたあの石です。かなり強靭で四角く加工されていることが多いので使いやすいです。ただ見た目がちょっと人工物っぽくなるのでそれがマイナス点ですかね。
あとは、天然の石でも種類や名前を調べ始めるとキリがないので、僕がチェック方法はカナヅチで表面を叩いてみることです。これにより大体の強度がわかります。カナヅチで叩くだけでちょっとでも欠けるような石は使わないほうがいいでしょう。また、表面の粒子をよく観察して、小さな砂のような粒子が固まって出来た石は強いものが多いです。重さはあまり参考になりませんでした。何せ、石は大体全部重いです。
石と石をぶつけ合って硬さを試したりしながら硬い石の見た目を覚えました。石は、土地により特徴が違うため実験が一番手っ取り早いです。



石を購入する
僕は、家の敷地内に転がっていた石を利用しましたが、そんな簡単にちょうどいい大きさの石が家に転がっている人はあまりいないと思います。そのため、一番現実的で安価な方法は砕石をオーダーした土建屋さんにお願いすることです。
置き石基礎に使いたいと言う旨、また、強くて使いやすそうな形の石が欲しいということを伝え、もしどこかで見つけたら持ってきてくださいとお願いしてみましょう。土建屋さんは、いろいろな土地を均したり穴を掘ったりするのがお仕事なので、捨てる石が結構出てきます。それが見つかれば多分タダでもらえます。何せ、彼らも捨てる場所を探す手間が省けます。ぜひ、一度聞いてみましょう。
もしくは、庭師や石屋さんに聞くのも手です。ただ彼らはそれが本業のため、多分お金を取られます。それでもかっこいい石の上に家を建てたい人は石屋さんにお願いしましょう。
間違っても、川から持って帰らないように。一応犯罪です。
ご近所さんに聞いてみよう
家の周りをドライブしてみると、畑の隅に大きな石固まってが転がっていたりする家があります。ほとんどの場合は、家を解体した時に出た昔の置き石基礎の石であったり、解体した石垣の石でしょう。もし、使えそうな石を見つけた場合はその持ち主の方に相談してみましょう。多分、喜んで譲ってくださると思います。
間違っても勝手に持ち帰らないように。完全に犯罪です。
石の大きさと形

石の強さについては、理解されたと思います。では大きさについて考えてみましょう。
先にも述べたように、独立基礎の場合、家の重さが、点で基礎と地面にかかります。これでは、ハイヒールのかかとで踏まれるようなもんで、地面もたまったもんじゃありません。そのため少しでもその圧力を分散するため、横に広い石がおすすめです。だからと行って薄っぺらい石では家の重さに耐え切れず割れてしまう可能性も出てきます。そのため、僕が選んだ石は直径50cmの円と同じくらいの表面積で高さが30cmくらいの石を選びました。自然石なので形がバラバラなのは当たり前。そのため、構造上重要になる四隅に一番しっかりした石使いました。大きさや高さがバラバラでも上手に振り分ければ問題ありません。
形は、地面に置いた状態で上面の水平が出ていたり安定していなくても大丈夫です。もちろんできる限り平らな面が1面でもあると便利です。設置時には、コンクリートを流し込みその平らな面を上にして石を設置し、微調整できるので完璧でなくて大丈夫です。逆に自然の石に完璧を求めないでください。
また、柱を乗せる面は、基礎の設置が済んでからグラインダーである程度平らにするので平面度もそこまで気にしなくても大丈夫です。

石探しをされる方は、良さそうな大きさの石を見つけたらコロコロと転がして(重いのでドスドスって感じですが)どんな感じで柱が乗るのか想像してみてください。きっと「これだ!」と言うものが見つかるはずです。
まとめ
実際に石を探し始めてみると、かっこいい石や可愛い石がいっぱい出てきます。そして、実際に施工する頃にはお気に入りの石まで出来ているはずです。基礎にまで愛着が湧くセルフビルドの家は置き石基礎ならではの感情ではないでしょうか。
基礎はコンクリートで作るものだと言う考え方はここ最近生まれたものです。村に立っている大きなお寺の基礎を見に行ってみてください。あの大きさの建物(しかも瓦張り)が石の上に立っているのです。置き石基礎(石場立て)は過去の技術ではなく現代でも使える技術なのです。ぜひ、この合理的かつ安価な基礎をあなたのセルフビルド小屋もしくは家に採用してみてください!
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